帰任

 息子が勤務地に帰るのを見送った。長距離バスの停留所というのはなんとなく、慌ただしい場所だ。夜行バスのターミナルなのでだいたい人の混雑のピークは夜9時から10時ぐらい。時間が遅くなるにつれそのターミナルの人影はだんだん少なくなってくる。
 JRの駅なら通常の通勤電車の往来が頻繁にあるのでそんなに旅情を感じないのだが長距離バスのターミナルというのはなんとなく旅情のようなものをJRの駅よりは感じる。それも東京や名古屋というような地名だけでなく、もっとローカルな地名のバスが次々と着いては出発する。ここにいる人たちはそれぞれの生活の場に今から戻るんだな、とふとため息を洩らしてしまった。

 夜行バスに息子が乗るのを見届けてから、4人家族が3人になって我が家へ戻った。時刻は夜11時。
今頃、バスの中でゲームをして目が疲れて眠くなるまでやっているんだろうな。つかの間の家族4人の休みもあっという間に時間が過ぎた。